パソコンの動作が遅い・重い場合、中のデータを消せば早くなる?

こんにちは、店長の平山です。

日々、パソコンサポート、修理、設定代行などを行っています。

パソコンサポート・パソコン修理・パソコントラブル対応のプロ業者

さて今回は、非常に頻度の多いご相談、「パソコンが遅い時はどうすればいいのか?」という対応例です。PCサポートのプロならどうするのか?という一つの例として、ご参考にして下さい。

パソコンの動作が遅い場合、データを消去すれば早くなる!という風潮

経験上、多くのお客様から、「パソコンの中のデータを消せば(動作が)早くなるんでしょう?」と同意を求められることが多いです。皆さんがそう思いこんでいるのは、原因と解決方法がイメージし易く、納得しやすい理由だから、だと思われます。

しかしそれは、「パソコンを早くする方法」としては、イマイチ的を射ていません。その考え方が100%間違いというわけでは無いのですが、保存データの量という要素は、考えられる不調原因の中のたったひとつに過ぎず、それも、優先順位としてはかなり低い部類になります。

実際、とても動作の遅いパソコンについて、電子メールや写真データを多少整理した程度で、とたんに動きが早くなるというケースは、非常に少ないです。繰り返しますが、ただパソコン内の書類や写真や音楽などを減らしても、パソコンの動作速度には、期待できるほどの影響はありません。

中には、大事な思い出の写真データを削除したり、様々な手続きの履歴でもある電子メールを削除して、それでも速くならなかった・・・という事で当店にご依頼頂く方もいらっしゃるのですが、できればそういう作業を行う前に、ご相談して頂ければ消さずに済みますので、多大な労力をかけて大事なデータの削除作業をする前に、当店までご相談いただくか、あるいは、どうかこの記事を最後までご覧ください。

データでいっぱいのハードディスク
ほぼ100%までデータを溜め込んだ場合は別ですが、電子メールや写真データなどのデータを多少削除した程度では、パソコンの体感速度はほぼ変わりません。また、この写真の場合は「ローカルディスク(D)」に余裕があるので、CとDのバランスを調整するだけで(データを削除せずに)空き容量の問題を解決できます。

パソコンが遅くなる主な原因

パソコンが遅くなる原因は多数あり、「なんだか遅いな」と感じる場合、たいてい原因は一つではなく、いくつかの理由が重なって、動作が遅くなっています。PCサポートのプロが最優先で行うことは、まずその原因の特定です。

ハードウェア(機械)面での原因(例)

  • ハードディスクの劣化、損傷
  • 用途に対して、単純な性能不足
  • 内臓メモリーの不足、故障
  • 常時接続している、外付機器の故障
  • (ネット通信だけが遅い場合)通信回線の問題
  • ホコリや設置場所による加熱、熱暴走

ソフトウェア(中身)面での原因(例)

  • OSの異常、トラブル
  • 不正な広告ソフトが入り込んでいる
  • コンピュータウィルスに感染している
  • 性能に対して負担の重すぎるセキュリティソフトを導入している
  • 不要な常駐ソフトウェアを多数設定している
  • (特定のプログラムだけ遅い場合)設定等に問題がある
  • 主記憶装置のほぼ100%までデータが入っている
  • Windows Updateなどを実施せず溜め込んでいる
  • 不要な設定、不要なレジストリ、不要なキャッシュデータなど

それぞれ詳しく解説したい所ですが・・・各項目ごとに長文記事が書けてしまう内容なので、今回は割愛します。

正確な原因と対処法は実際にパソコンを診ないと分かりません。

上記で挙げたように、パソコンが遅くなる原因は多数あります。また、大抵の場合は2~3個、あるいはそれ以上の項目が複合しています。実機を見ずに、電話やメールの相談だけで、特定することは、ふつう、出来ません。人間の病気や人間のお医者さんと同じで、診断もせずに決めつけたり、「こうすれば治るよ!」「この薬さえ飲めば治るよ!」と軽々しくアドバイスする事は、非常に危険です。

パソコンに詳しい人ほど、知識が多いため、色々な可能性が頭に浮かびます。だから、すぐに原因を断定出来ない事=パソコンに詳しく無い、という事ではありません。えてして、自信満々に当てずっぽうを言う人の方が信頼されてしまう現象は、パソコンに限った事ではないですが・・・。当方は、慎重であること、まずきちんと調査することが、健全な業者の証だと考えます。

とりあえず、ハードディスクの劣化・損傷だけは調べておいた方が良いです。

なお、パソコンの動作が遅い場合、まず何をさておいても、ハードディスクの傷み具合だけは、調べておいた方が良いかと思います。

まず真っ先にハードディスクを調べる理由

  • ハードディスクが損傷している場合、一刻もはやい内部データの避難が必要です。
  • HDDが損傷した状態であれこれ作業を行うと、より悪化してしまう場合があります。
  • わたしの経験上、「パソコンが遅い」ご相談の原因トップがこれです。

ハードディスクの不具合を簡単に調べる方法

業界で有名なフリー(無料)ソフトで、「Crystal Disk Info」というものがあります。こちらからダウンロードできます(窓の杜)。こちらのソフトを導入すると、ハードディスクの簡易診断が出来ます。

故障寸前のハードディスク
「正常(青色)」「注意(黄色)」「危険(赤)」の3段階表示で、ハードディスクの状態を教えてくれます。個人的には、黄色が出た時点で、即部品交換をオススメします。また、青色の「正常」表示でも、数値の乱れ具合によっては、要注意です。

ハードディスクが劣化している、傷んでいると分かったら

  • まだ起動できるうちに、内部データのバックアップをしましょう。
  • 完全に壊れる前に、部品交換修理、またはパソコンの買換えを検討しましょう。
  • 「ただ遅いだけなのに…」と考えずに、深刻な故障になる前に、内部データが全部消えてしまう前に、「遅い」という自覚症状が出て良かったな、とお考え下さい。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

まとめますと、ひとりのパソコンサポートのプロの意見としては、パソコンの動作が遅い場合は、データを減らすことよりも、まずハードディスクの異常について調べるべき・・・ということです。

これが新しい常識、新しい風潮になってくれればいいのですが・・・どうでしょうね?