中国製IT機器(パソコン、スマートフォン、アプリ、PC部品等)に対する当店の見解について
中国製のIT関連製品についてのご質問が増えてきています
2000年代以降、中国製の各種IT製品やサービスが増えるにつれて、お客様より当店スタッフへご質問をうける機会も増えています。そこで、当店の中国製のIT製品に関する現時点(2025年1月)での見解をまとめ、お知らせしておきたいと思います。
なぜ?「中国製」が警戒されるのか
品質やサポートの問題
お客様が心配される原因の第一は、商品などの品質そのものです。壊れやすい、届いた実物が事前の説明や性能詳細と違う、サポート対応がされない、など。
…トラブル対応業者の立場と、現場での実体験、そして集めた統計から正直に申し上げますと、たしかに日本製やアメリカ製のものに比べ、中国製の物は、まだまだトラブルが多いです。品物そのものの不良品率、広告との差異、平均的な製品寿命や故障率、サポート対応や保証が確実かつ快適に行われるかどうかなど、いずれも傾向としては、劣っていると感じます。
例えば、お客様がご自身で購入された、新品の中国製パソコンが異常に動作が遅かったり、キーボードのボタンが傾いて誤動作の原因になっていたり、筐体がすこし歪んでいたり。それを保証期間中にメーカーに送り返しても、正常だと戻されてしまった…というご相談も、過去にありました。いずれも日本メーカーでは経験したことがない対応です。
ただしその分、全体的に安価でもありますし、比較的大手の中国メーカーで、高価格帯の品物であれば、かなり不良率やサポートなども改善されてきています。ご購入を検討中のお客様の方針や考え方しだいでは、十分に「選択肢」に入ってくる場合があります。(とにかくコストパフォーマンス重視で、故障発生時のリスクなどは許容できる方など)
セキュリティ、信頼性の問題
お客様の懸念として2番目に多く寄せられるものは、セキュリティ上の不安です。
世界の様々な機関が中国製のITサービスや製品に対して、情報漏洩の可能性など警告を発しており、中でもアメリカ政府はかなり多岐に渡って中国製品を規制しています。日本でも防衛関連施設や政府機関の一部で中国製品を採用しないなどの措置が取られています。
一般人レベルでは(当店のような地方のサポート業者も含みます)、その情報漏洩の現場を押さえたり、証拠を集めたりすることはほぼ不可能ではありますが、世界中の、専門のIT調査会社などによって、しばしば「中国への情報送信が確認された」という報道がされています。
参考記事(外部サイト)
また、そもそも中華人民共和国の法律では、中国の企業に対して中国政府が情報を求めた場合、どんな情報も必ず提出しなければなりません。よって、われわれ他国のユーザーの情報が守られる保証は、最初から存在しません。そういった事情をご存じのお客様から、「本当に大丈夫だろうか」とご質問を受けた場合、私どもとしても、「保証はされてないですね…」と申し上げるしかありません。
日本で見かける代表的な中国IT系企業、商品、サービス
Lenovo(レノボ)
パソコンの製造メーカーです。アメリカのIBM社のパソコン事業や、日本のNEC、および富士通のパソコン事業を買収した会社です。2000年ごろとは違い、「Thinkpad」「Lavie」「FMV」などのパソコンブランドは、現在は中国メーカーであるレノボ社の製品であることは、意外とご存じない方が多いようです。
Huawey(ファーウェイ)、Xiaomi(シャオミ)
いずれもスマートフォンやタブレットなどの携帯端末がメインのメーカーです。格安スマートフォンを購入の際に選択肢に入りやすいです。
Tiktok(ティックトック)
ツイッターやフェイスブックなどと類似の、交流用のスマートフォンアプリです。ショート動画の機能で、若者を中心に広まっています。運営会社は「ByteDance(バイトダンス)」ですが、サービス名の方が有名です。
TP-Link(ティーピーリンク)
Wi-Fiルーターや中継器などの通信機器メーカーです。本社は中国です。性能の割に安価で、日本の大型量販店でもよく見かけます。
DJI(ディージェーアイ)
ドローンの製造メーカーです。高性能でコストパフォーマンスが良いため、国内でも人気があります。
Baidu(バイドゥ)
インターネット検索サービスなど。何かの機会で、Baidu製の文字入力ソフトやお天気情報アプリをパソコンに導入されたままのお客様を、よく見かけます。
AliPay(アリペイ)、WeChat Pay(ウィチャットペイ)
いずれも、お手軽にスマートフォンなどで支払いをするための「決済用アプリ」とサービスです。それぞれアリババとテンセント社が提供しています。
Alibaba(アリババ)、Temu(テム)
いずれも中国系の通信販売サービスです。日本でも広告を見かける機会が増えてきています。
Tencent(テンセント)
ゲーム事業(売上の3割)や、上記のWeChat Payなどの運営を行っています。
その他
Amazonや楽天など、通信販売サイト内で、多数の中国系メーカーや販売店が出店しています。一見して中国系と分からない場合もありますが、見慣れないブランド名のIT関連機器やパーツ、周辺機器などは、ご購入前にそのブランド名で検索してお調べになると良いかと思います。
当店での中国製品取り扱い上の見解
基本的に、お客様よりのご注文があればお取り寄せします。
当店は、基本的にサポート業者ですので、店頭に商品は並んでいませんし、修理用部品以外には、商品の在庫もありません。お客様よりご注文があれば取り寄せして、お届けと設置や初期設定を行います。そのご注文時に、お客様よりメーカーやブランドや品物の指定があれば、それに従うことになります。
ただし、お客様が直接注文されずに、当店を経由する以上、当店に「コンサルティング」としての機能も期待されていると思われますので、ご注文の承り時に「もしよろしければこちらをお選びの理由を伺っても大丈夫でしょうか」「いちおうお知らせしておきますと、以前にこういったお客様の事例がありまして…」「そのぶんお安くなっていますね」という風に、長所と短所の両方をお話させて頂く場合があります。
そして、その上でのお客様のご判断は、もちろん尊重いたします。当店の勝手な判断で提供をお断りすることはありません。
リスクやデメリットについてのご質問があった場合には、ご説明します。
お客様が、ご購入を検討されている段階において、メリットやデメリットをご説明する機会が生じましたら、当記事の内容と同じようなご説明を致します。
当店より中国製品の積極的なセールストークなどは行っていません。
お客様より「どういうものを買ったらいいと思う?」とご質問された場合などは、コスト、性能、リスク、そしてお客様のお好みや使用時の環境などを総合的に加味してご提案します。その際、リスクの高いものは当方からは基本的にオススメしませんが、「とにかく安いものを」というご指定がある場合は、選択肢の中に含める場合もあります。その際はリスクもご説明します。
トラブル対応時の交換品、修理部材に中国メーカーのものは採用していません。
お客様宅のインターネット障害で訪問トラブル対応中に、通信機器を取り替える必要があった場合や、お預りした故障パソコンの修理時などに、中国メーカーの製品や部品を使うことは、基本的にありません。(お客様より「これまでと同じ(中国製の)もので」などの指定があった場合を除きます)
ただし、生産工場の場所までは当店では関知しません。日本の国内メーカーであっても、生産工場が中国であったり、内部部品に中国製のものが含まれるなどのケースがありますが、それらまで徹底的に除外することは、ほぼ不可能で、非現実的だからです。管理する側が非中国企業であれば、前述した「なぜ警戒されるのか?」のリスクが大幅に軽減されるため、容認しています。
さいごに
以上が、当店における中国製のIT関連商品やサービスに関する見解になります。
あくまで政治的な意図はなく、お客様のリスクや満足度、そしてご意思を優先した上での最適解を模索し、ご提案しています。なお、今後の中国製品の品質やサービスやサポートの向上、各国のルール変更などによって、対応が変わる場合があります。その際は、また改めてお知らせしたいと思います。