【誤解】光インターネット回線にしても、パソコンの起動や普段の動作は速くなりません。パソコンが遅い場合は総合的に原因調査を

こんにちは、パソコンサポートの平山です。

パソコンの修理やメンテナンス、インターネットやメール設定など、パソコン設定のご依頼もよく承っています。

パソコンサポート・パソコン修理・パソコントラブル対応のプロ業者

それらのサービスの際、しばしばお客様とのお話の中で、「あれ?」と思うことがあります。

それは、

「ネットをADSLから光回線にしたから、パソコンも速くなるよね?」

「Bフレッツにしたのに、パソコンが速くならないんだけど」

といった、お問い合せに対してです。

ですが、その考えは、誤解なんです。

ちょっとパソコンに詳しい人なら引っ掛からないウソですが、パソコンに詳しく無いと、信じてしまいがちなウワサではあります。

ただ、やっかいなことにこの理論?は都市伝説レベルで広まってまして、私が否定しても、信じてもらえないことさえあります。

今回は、そのあたりを、ちょっと詳しく解説します。

インターネット回線を高速タイプにしても、速くなるのは「ネットを利用する時だけ」です。パソコンの起動時間や、ワープロ作業などにはほぼ影響がありません。

どうもどこかで誰かが、「ネットを切り替えればパソコンも速くなりますよ!」と吹聴しているのではないか、と思われますが、実際には、そんな劇的な効果はありません。たしかに、インターネットを利用する時などは、その分「だけ」速くなります。だから、100%ウソというわけではありません。しかし、パソコン動作すべてが速くなるわけでは、ありません。

NTTのモデムとBUFFALOのルータ
状況をよく分かった上でなら、光インターネットはとても便利なものです。私も導入しています。が、魔法のように古いパソコンをキビキビサクサクにしてくれるものではありません。そこまでの力はありません。ご注意ください。

ネット回線が「速く」なると、つまり具体的に「何」が速くなるのか。

  • ホームページを見ているときに、次のページをクリックして、表示されるまでの間隔が、早くなります。
  • Youtubeなどの動画サイトで、長い動画を見る際に、再生開始までの待ち時間が短くなります。
  • 写真などが添付されている電子メールの受信時に、完了までの時間が短くなります。
  • Windows Update や、セキュリティソフトのアップデートなどが、早く終わります。

※つまり、インターネットに関係する事を行う際は、早くなります。

ネット回線が速くなっても、以下のようなスピードは、ほとんど変わりません。

  • パソコンのスイッチを入れてから使えるようになるまでの起動時間や待ち時間は、変わりません。
  • ワープロ作業や年賀状作成など、インターネットと関係のないソフトの起動時間、反応時間は、変わりません。
  • パソコンから、USBメモリやDVD-Rなどにデータをコピー・書込みする時の時間は、早くなりません。

※つまり、インターネットに関係ない作業の場合は、早くなりません。

パソコンの性能が低すぎる場合は、ネット回線が高速でも、パソコンの性能が追いつかず、ネット閲覧のスピードさえも変わらないことがあります。

特に改造のしていない、古いパソコン、例えば10年前のWindows XP のメーカー製パソコンを使っていたり、比較的最近のパソコンでも、持ち運び用の省電力省パワー型のパソコンを使っていたりすると、ネット回線だけを早くしても、パソコンの性能が追いつかず、実際の使用感はほとんど変わらない場合があります。

良く分かっていない勧誘員や悪質な相談員が、わざと誤解を招くような言い方をしたり、大げさに言う場合があります。

今のご時世、インターネット業者からの電話勧誘は、非常に多いです。普段ご自宅にいらっしゃる方は、「光回線にしませんか?」「安くなりますよ?」「速くなりますよ?」と、お得であるような誘い文句で勧誘してくる業者を、何度も断った経験があるのではないでしょうか。

そういった勧誘業者や代理店の中には、ノルマをこなすために、大げさな表現、誇張、明らかなウソ、を並べる者もいるようです。または、重要なことを伏せたまま、悪い点は言わずに、良い点だけを薦める、なんてこともよくあるようです。(いずれも残念なことですが・・・)

その典型的な例が、「インターネット回線を切り替えれば、さも古いパソコンが生き返り、サクサクと動くようになると誤解させる」というやり方です。たしかに、ネットを使う作業だけなら、早くなりますので「パソコンが早くなりますよ~」という言い方は、100%ウソ、というわけではありません。が、それを聞いた方には、ネット利用時/非利用時の区別なく、「すべての動作が速くなる」という勘違いが起きやすいわけです。むしろ、詳しい知識が無い場合、普通はそう思うのではないでしょうか。

パソコンが遅くなる理由は、たくさんあります。個別に対応が必要です。これをしたから早くなる!という思いこみは、失敗につながりやすいです。

パソコンの動作を早くしたい(現状が遅い)のなら、以下のような複数の原因をチェックする必要があります。

  • ハードディスクの部品が、機械的に痛んでいないか、古くなっていないか(5年がひとつのめやす)
  • 不正な広告ソフト、ウィルスなどに感染していないか
  • ハードディスクの容量が9割近くまで埋まっていないか(メールや書類や写真を多少削っても意味は薄いです)
  • パソコンの性能に不釣り合いな、自動起動ソフトが入っていないか(古いパソコンに、年度の新しいセキュリティソフトが入っているなど)
  • 内蔵メモリーは故障していないか、お客様の主な用途に対して、量が足りているか
  • 基本OSであるWindowsにトラブルが発生していないか
  • 不要な設定、不要なレジストリ、不要なキャッシュデータなど、ムダな部分が溜まっていないか
  • Windows Updateや各種アップデートは溜めてしまっていないか
  • 接続している周辺機器(特に外付けHDDなど)に異常はないか

長年のパソコン修理経験から言わせてもらいますと、パソコン動作が遅い場合、たいてい、上記の原因が複合的に絡んでいます。「これさえやれば早くなる!」というサービスや言い方は、個人的には、あまり信用しない方がいいと思います。上記のすべてのトラブル原因、可能性に対処するには、詳しい人間が診断して、個別に対応しなければなりません。

例えば、以下のような謳い文句のサービスや商品は、期待した効果が得られない場合があります。

  • 光回線にすればパソコンが早くなる!(ネット利用時だけ、という条件付きです。パソコンによって差があります)
  • これさえ入れればパソコンが早くなる!というお店で売っている数千円のソフト(効く場合もありますが、限定的です)
  • HDDをSSDに換装すれば早くなる!(他のパーツや保有するデータ量とのバランスを考えないと、無駄な投資になるかも)

こういった宣伝でお客さんを増やしたい業者さんのお気持ちもよく分かります。が、原因と対処が噛み合っていないと、利用者にとって効果が得られず、意味はありません。

パソコンが「遅い原因」を突き止めてから、対処方法を検討しよう。

ともかく、ご自分ではっきり「コレが原因だから、コレをすれば早くなるんだ」と理解することが、最優先の事かと思います。

病気(パソコンの不具合)の原因や病名を調べないまま、「他の人には効いたから」とあてずっぽうで薬を飲む(何かする)のは、お勧めしません。まるっきりムダになるだけならまだしも、かえって、状態が悪くなる可能性もあります。

繰り返しになりますが、パソコンが遅い場合、まずは原因を調べて特定すること、が大事です。

「ウチはパソコン自体はなんともないけど、とにかくネットが遅いから、光回線にしよう!」

と考えて光インターネットを導入するのなら、何の問題もないわけです。

今回の記事はここまでです。

パソコンの動作向上の為の記事は、またいずれ改めて書くかもしれません。