遺族による故人のデータやアカウントの処分方法について【保存・削除】

こんにちは、パソコンサポートせんだいみやぎ店長の平山です。

ここ3年で両親が立て続けに亡くなりまして、長男である自分が様々な手続きや処理などを行ったのですが、IT関連についても同様にすべきことがいくつかありました。せっかくの機会ですので、簡単ではありますが、身内の方が亡くなった場合の、特にIT関連の手続きについて、おおまかに流れをまとめたいと思います。

はじめにすること

1、遺族、筆頭相続人、法定代理人として故人との関係を証明できるようにしておく

まず今後に行う全ての行為が、第三者による不正アクセス行為ではなく、正当なアクセス権利者によるものであると証明できるようにしておいた方が良いと思われます。遺族の方であれば、すでに故人に関する様々な手続きを行う中で、戸籍謄本などの書類を用意している場合が多いと思いますが、使い切らずに一部は手元に残しておくと良いでしょう。後に必要になる場合があります。

また、そもそも正当な権利者でない人(故人の友人、近所のパソコンに詳しい親切なおじさん、我々のようなサポート業者等)が、こういったデータ復旧などを行う場合は、きちんと正当な依頼者からの「許可」をもらった上で、サイン入りの書面など目に見える形にしておく方が、後々トラブルになりにくいと思われます。

2、各種パスワード類の記録を探してまとめておく

故人の手によってリストとしてまとめてある場合はスムーズに事が運びますが、たいていはバラバラに保管してあるか、記録そのものが無い場合が多いです。数も多く大変かと思いますが、最重要なのはパソコンやスマートフォンの起動時のパスワードやコードですので、そこから当たりましょう。パソコンやスマートフォンが起動できれば、そこから芋づる式に他のアカウントやパスワード類を判明させたり、再発行手続きを行うことも可能かもしれません。

本人によるメモなどの記録が無い場合は、パソコンやスマートフォンの購入・契約時に、購入店舗などで作成した”重要事項記載シート”のようなものが無いかどうか探してみましょう。もしそれらの手がかりが全くない場合は、データの復元などについて、少なくとも一部、あるいはかなりの部分は諦めざるを得ない部分も出てくると思います。

パスワードが分からない
いわゆる「終活」を行う際は、パスワード一覧を作っておくと、残される方々の負担がかなり軽減されます。

各種電子データの取り出しや処分について

パソコン本体

起動できる状態であれば、必要なデータを何らかの媒体にコピーし、それ以外を完全に削除したり、物理的に記憶装置を破壊してしまうなどの処理を比較的容易に行えます。

起動パスワードが不明な場合でも、同じパソコンに別のご家族や管理者としての登録(アカウント)が存在している場合は、そちらからデータを開ける場合があります。また、パソコンを分解して記憶装置だけを取り出して別のパソコンなどに繋げることで、内部データを呼び出せる場合もあります。パソコンの場合は取れる手段が(スマートフォンに比べて)多いです。

しかし、故人が「もう絶対にデータを取り出せないようにしよう」という前提で、記憶装置の記録自体を厳重に暗号化・ロックしている場合などは、遺族といえどもデータはもう取り出せない、諦めるしかない場合もあります。

携帯電話・スマートフォン

端末を起動し、使用できるようにするパスコード、パターンなどの直接的な手がかりがある場合は、比較的スムーズに内部の情報にアクセスできます。また、様々な手続き時に、本人確認として「確認コード」を通信でやり取りする場合がありますので、必要な処置が終わるまでは故人の携帯電話回線の契約を解除せず、通信可能な状態にしておく方が良い場合もあります。

携帯、スマートフォンのロックが外せない、使える状態に出来ない場合は、まずmicroSDカードなどの、データ保存用のカードを挿入できる機種かどうかを確認します。microSD対応の機種で、かつ故人が写真や各種データをカードに記録するように設定していた場合は、そのカードを抜き取ってパソコンなどで中身を読み取れる場合があります。(iPhoneなど記録用カードを差し込めない機種も多いですし、カードを差し込んではいるものの主要なデータをカードに保存せず、携帯本体のみに保存している方も多いので、必ず使える手ではありません)

なお、世間にはロックされたスマートフォンや故障した携帯電話からデータを抜き取れる、と宣伝しているソフトウェアやサービスも存在していますが、当店では基本的にメーカーやサービスベンダーの規約違反や法令に違反する恐れのある行為や方法については、推奨していません。(ロックを裏技的な方法で解除したり、携帯OSをRoot化・脱獄などのハッキング行為を行う等の仕組みは、規約や法令に違反している可能性があります)

記憶媒体(外付けハードディスク、SDカード、USBメモリー、CD-ROMなど)

個別の記憶媒体については、その他の読み取り装置(パソコン等)で読み取れば、たいていはそのままデータが閲覧・複製も可能です。ただし、一部のデータについては、対応するソフトウェアが無ければ開けないものがあります(たとえば年賀状ソフトで作った住所録などは、閲覧する側のパソコンにも対応する年賀状ソフトが必要ですし、事業を行ったいた場合の会計データなどは、それを閲覧するためのソフトウェアも比較的高価になってしまう場合があります)

また、数としては非常に少ないですが、外付けディスクやカードやメモリーの中のフォルダに、故人の手によってパスワードが掛けてある場合があります。その場合は中身を見るために個人の設定したパスワードが必要になります。

各種クラウドサービス(オンラインサービス)

パソコンや手元の記憶装置以外にも、オンライン上のサーバーに各種のデータを預けてある可能性があります。昨今では、データだけでなく、電子通貨や、何らかの換金性のあるコンテンツが故人名義で保管されている場合もあり、相続人としてそれらの引継ぎや削除の処分なども必要になるかもしれません。

故人がITに疎く、詳しくなかったとしても、クラウドサービスを利用していなかったとは言い切れません。スマートフォン購入時やそれ以後の設定で、スマートフォン内部のデータとサーバーが自動的に連動するようになっており、ご本人が認識していなかっただけで実は過去の写真や電話帳などのさまざまな情報がGoogle社やApple社のサーバーに預けっぱなしになっていた、というケースは往々にして存在するので油断はできません。

もしパスワードが分からなくても、この場合はサービス管理者が存在するため、正当な手順さえ踏めば引継ぎなどが可能なケースが多いですが(例:Google社:故人のアカウントに関する手続きページ)、長期間に誰もアクセスしない状態が続くと自動的にデータや登録自体が消されてしまう場合もあるので要注意です。(前述のGoogleの場合は2年間の利用が無ければ消されていく模様)なお反対に、大したデータを預けていないと分かっている対象については、自然に削除されるまで放置する、という方法も検討の余地ありかもしれません。

さいごに

当店で、上記のような作業のお手伝いをすることは可能です(日帰り可能地域に限ります)。実際に過去に何度もご依頼がありまして、パソコンを分解してデータを取り出したり、といった作業を行いました。

ただし、ご遺族である証明が不確かな場合や、明らかに元の使用者と無関係の第三者であると思われる場合などは、ご依頼をお断りしていますので、ご了承ください。