Air Tag(エアタグ)まとめ。特長・問題点・悪用への対策
「落とし物・亡くし物」対策のアイテム、”Air Tag”について
最近、アップル社の開発・販売している紛失対策の小さな装置「AirTag(エアタグ)」が、悪い意味で注目を浴びています。こういった、いわゆる”スマートトラッカー”あるいは”スマートタグ”と呼ばれる装置は以前から普及していましたが、なぜ今、AirTagが問題になっているのでしょうか。この記事では、エアタグの特徴、問題点、対策などを簡潔にまとめます。
商品概要
- 【価格】1個 3,800円 4個セット 12,800円
- 【サイズ】約31.9mm×8mm (直径×厚み) ※500円玉と同程度。
- ボタン電池(C3032)で約一年間動作可能
- スマートフォン等と連動させることで、所在地を調べる事が出来る”発信機”。本来は身の回り品の紛失防止が目的の装置。
【Air Tag の問題点】なぜ悪用されやすいのか
簡単に言えば、性能が良すぎるためです。
従来の”スマートタグ”は、自分のスマートフォン等を中心とした、たった半径10m程度(Bluetooth規格の電波が届く範囲)で探しものをする程度でした。とはいえ、家の中で失くしたサイフや車のキー等にタグを付けてさえいれば、近づいて音を鳴らすことですぐ発見できますし、屋外でも最後に通信を確認できた場所を特定するなど、非常に便利なものではあります。
一方、AirTagの場合、10mどころか、都市部であれば世界中ほぼどこでも追跡可能です。
従来製品では、GPS技術を使って追跡範囲を広げようとすると、消費電力などの制限が多く小型化や製品化が難しかったようですが、エアタグの場合は本体にGPSが無くとも、付近に存在する他人のiPhoneと連動するという機能(※)によって、位置情報を持ち主に知らせることができます。
※他社製品でも同じような機能を持った物もあるのですが、各人が専用アプリを導入する必要があったり、そもそも全世界で10億台普及しているiPhoneの巨大ネットワークに比べて、規模と利便性に大きな差があります。
また、ボタン電池1つで1年間動作しますし、防塵・防水性能も優れており、それでいて他社製品と遜色ないお値段ということもあり、通常のユーザーだけでなく、悪用を考える人間にとっても便利でお手軽過ぎる製品となっています。
エアタグの特長まとめ
- 探せる範囲がすごく広い。
- 電池が1年保つ。
- 防塵・防水性能が高い。
- サイズも小さめ。
- お値段も高くない。
つまり、普通の人も悪い人も、すごく使いやすい!
悪用の実例・ストーキングや高級車窃盗に
実際に報告されている例としては、ストーカーが執着する相手の持ち物にコッソリ忍ばせて行動を把握したり、車両の窃盗犯が、目をつけた高級車のマフラーなどに貼り付けて、駐車場所や、持ち主が乗らない時間帯を調べていたり…
こういった悪用方法が、各種SNSを通して被害者や発見者の方々から報告されています。(下記はTwitterより転載。当店のアカウントではなく、第三者による報告です)
なお、Twitterの「airtag」関連のツイートを追っていくと、他にも様々な良い使い方、悪い使い方などが紹介されています。ご自身で活用される際や、防犯の際の対抗策を考えるためにご参考になさってください。
エアタグによる悪用の被害を防ぐ方法
1,24時間経過で鳴るアラーム音を頼りに探す
AirTagの元々備えているストーカー対策として、持ち主のスマートフォンから離れて24時間が経過すると、アラート音を出すという安全機能があります。もし自分のカバンや車の中などから聞き慣れない電子音が聞こえて来たら、その音の出どころを必ず確認しましょう。
しかしこの方法では、鳴りだすまでの時間が長い上、車に仕掛けられた場合などは、たまたまその時に自分が車中に居ないと気付けない、といった問題があります。
2,自分がiPhoneを所持していれば、検出するので音を鳴らして探す
自分がiPhoneを所持している場合、近くに「所有者から離れたAirTag」が存在すれば、分かるようになっています。「サウンドを再生」をタッチすれば、その音を頼りに問題のエアタグを探すことも容易です。
本来エアタグは持ち主のスマートフォンとセットで持ち歩いているか、あるいは自宅に存在するはずのものですから、もし貴方がこうした「所有者と離れて存在しているエアタグ」について音を鳴らしたとしても、本来の使い方をしている方相手には、迷惑は掛かりません。遠慮なくサウンド再生させて、どこにあるのか確認した方が良いでしょう。
3,iPhoneが無い場合は、Android対応の公式アプリで探す
アップル社では、iPhoneを持っていない方でも不審なAirTagを探せるよう、Android OS対応の検出アプリを配布しています。
こちらを使えば、上記のiPhoneを使った場合と同じように、近くの「所有者と離れて使われているAirTag」を検出させ、音を鳴らして探す事が出来ます。
リンク)Apple/トラッカー検出/Google Play Store
日本語対応もされており、アプリの開発当初より使い勝手は良くなっているようですが、使い方には多少のクセがありますので、あらかじめインストールして使い方に慣れておくと良いかもしれません。
もし不審なAirTagを発見したら…
まず、それ以上の追跡をさせないよう、フタを回して電池を外しましょう。ドライバーなどの工具は不要です。手作業のみで簡単に外す事ができます。なお、外した電池も証拠や手がかりになるかもしれませんので、処分せずに一緒に保管します。
電池を外すと、AirTag1つずつに割り振られた固有のシリアル番号が記載されています。念のために番号を控えてから、該当のAirTagを持って警察へ相談しましょう。なお、アップル社では捜査機関に、得た情報を提供しているそうです。
最後に
新しい技術が普及していくと、必ず悪用する人間が現れます。
それらをいちいち把握するのは大変ではありますが、子供の保護者や、会社の経営者、車などの動産オーナーなど、「何かを守る」立場の方は、できる限り、その特徴や防御方法を把握して、トラブルやリスクに備えておきたいですね。
この記事を書いている私自身も、自分の子供や事業、財産を守るためにこうした情報を集め、そして多くの方にもお役立て頂けるよう、今後もブログ等で様々な情報をお伝えしていきたいと思います。
また、言うまでも無いことですが、ご自身が悪用する事は絶対に止めましょう。当店へ本来の使い方ではない使用方法についてご相談されても、絶対に協力は致しません。市民の義務に沿って通報する場合もございます。