【NASのHDD換装】BUFFALO「LinkStation」のHDDを500GB×2から2TB×2に出来るだけ簡単に換装した方法

こんにちは、 店長の平山です。

パソコンサポート・パソコン修理・パソコントラブル対応のプロ業者

先日、バッファロー社から発売されているネットワークハードディスク(NAS)である、商品名「LinkStation(リンクステーション)」のHDD交換を行いましたので、その作業手順などについて、まとめます。

ちなみに先日わたしが「NASのHDD換装」「容量アップ」で方法を検索したところ、HDDを換装してからファームウェアを特殊なソフトウェア(TFTP接続ソフト)を使ってNASに書き込むという、少し技術的に面倒な方法や、RAIDの再構築などを長時間かけて行う方法などが見られましたが、BUFFALO製のNASの場合、もう少し簡単に換装できる場合がありそうだな、と思ったので、記事にしておこうと考えた次第です。

ご自身で換装作業をする場合、文中の注意事項などを必ずよく読んだ上、自己責任で行ってください。換装作業に失敗したり、手順のミスなどで機器や内部データが失われた場合でも、当方では、金銭的、技術的問わず、あらゆる責任を負いません。メールやお電話での問い合わせにも応じられませんので、あらかじめご了承下さい。

今回対象となった機器の情報

  • 【NAS製品型番】BUFFALO社 製 LS-WHGL/R1
  • 【ファームウェア】Ver. 3.09
  • 【交換用HDD】WD Red 2TB 計2台

せっかくなので、新しいHDDはNAS用に設計されているとされるWestan Disital社の「赤」にしました(※)。

2020年5月追記
WestanDigital社のNAS向けHDD「WD Red」等の製品について、事前の予告なくNAS向けでない方式(SMR)に変更されていたことが判明し、問題になっています。用途や使用法などによっては、エラーが発生するなど品質に問題がある可能性があります。当記事はその事実が判明する前に作成されたものですが、読者の皆様が今後NASのHDD交換などをご検討される場合は、十分にご注意ください。
参考記事(GIGAZINE) https://gigazine.net/news/20200416-wd-red-hdd-smr/

作業の所要時間

  • データのバックアップ 約30時間
  • 換装作業 約30分
  • データの書き戻し 約30時間

注意事項【重要】

  • 作業の途中で、NAS内部のデータは一度全て消去する必要があります。必ず換装作業の前に、外部記憶メディアへ、NAS内部データのバックアップを行ってください。
  • 以下の手順は、NAS本体および内部HDDが正常動作しているという前提のものになります。故障時やエラー表示時に同じように対応可能とは限りませんので、ご注意ください。
  • 以下の作業手順の解説は、ある程度の仕組みや設定方法などをご存知の方向けの文章となっております。NASの設定画面を自分では開いたことが無い、画面写真付きで1、2、3と図示してもらわないと分からない、という方は、大変恐縮ではありますが、リスクがかなり高い内容ですので、ご自身での換装作業は行わない方がよろしいかと思います。(この記事は、どんな方でも必ず換装できます、させます、と保障するものではありません。多くの方に、積極的に自分での換装作業をオススメするものでもありません。ある程度詳しい方向けの、技術的な参考資料としてお考えください)
  • 今回の作業内容は、上記の対象機器、ファームウェア(内部プログラム)において行ったものです。NASのメーカーや機器型番、ファームウェアのバージョンが異なる場合、同様の作業が出来ない、手順がかなり異なる場合があるという事を、あらかじめご了承ください。
  • 今回は「なるべく特殊なソフトウェアや特殊な器具が必要なく、時間効率が良い方法」として検討したやり方を掲載しています。最速の最適解として速さを競うものではありませんので、「この機材やソフトを使えばもっと速いよ!」などのご指摘はご容赦ください。

作業手順

1)NAS内のデータを外部の記憶メディアにバックアップする

作業途中でNAS内のデータは全て消去されますので、必ず事前に別の記憶媒体にデータをコピーして保存しておきます。なお今回、400GB強のデータを外付けHDD(USB3.0)に保存するのに、自宅のWi-Fi回線(11ac)を使って丸1日強ほど掛かりました。

なお、実はLS-WHGLA7B には外部出力用のUSB2.0ポート(理論値最大480Mbps)も付いているので、そこからデータを書き出した方が、 転送速度、 回線負担、コピー失敗のリスクの面から、良かったかもしれません。記事を書いている今の今に気づきました(うっかりですね…)。次回があれば所要時間などについて比較検証したいところです。

2)NAS管理画面でRAIDアレイを削除する

この時点で内部データごとRAID構成情報を削除してしまいます。この後の換装作業の前に中身を削除しておくことで、HDD交換後のデータミラーリング作業、RAID再構築などの余計な待ち時間を、ある程度省くことができます。

NASのローカルIPアドレスを使い、ブラウザから管理画面に入り、「ディスク管理」の「RAID設定」から、現在のRAID情報を消します。数分で完了します。

3)NASの電源を切り、配線を外し、外蓋をドライバーで開け、まず1台だけHDDを換装する

2台両方を1度には交換できません。保管されていたデータは前の工程で削除しましたが、まだ、設定作業などを行うためのファームウェア本体が各ハードディスク内に保存されていますので、ファームウェアのプログラムだけは残るように、1台ずつ交換する必要があります。2台同時に交換してしまうと、管理画面が開けなくなります。

細めのプラスドライバーを使い、NAS底面のネジを2本外せば、前面のフタが開けられますので、まず「1」とナンバーが振ってあるHDDを丁寧に取り外し、新しいものへ交換します。

4)再度配線を戻し、管理画面からディスク1を初期化する

NASを再起動し、管理画面を開きますと、ディスク1についてエラーが表示されていますので、そのまま画面表示に従って、フォーマットおよび再構成を行います。数分かかりますが、これでファームウェアが新しいHDDにもコピーされたはずです。

5)2台目のHDDを交換する

手順3を繰り返し、今度は「2」と番号の振られたHDDを交換します。

6)管理画面から、ディスク2も初期化する

手順4を繰り返し、ディスク2も使用できる状態にします。

7)RAID1アレイを構築する

ここまでの作業を行った結果、新しいNASが誕生したような状態です。以前と同じ環境になるよう、改めてRAID設定を行います。ほとんど場合は、目的・用途からして、RAID1(ミラーリング)が適切かと思います。適用されるまで、数分かかります。

8)共有フォルダ設定や、その他設定の復元を行う

以前あった共有フォルダ情報なども消えていますので、引き続き管理画面上で、データを格納するためのフォルダを作成します。

以前にフォルダやアカウントごとのアクセス制限や、外部からのWebアクセスなどの追加設定を行っていた場合は、手動で以前と同じように設定し直します。

9)バックアップしておいたデータを書き戻す

管理画面を閉じ、エクスプローラで共有フォルダを開き、外付けメディアに保存しておいたデータをコピーして書き戻します。

10) 各端末から接続テストを行う

これまでNAS内のデータにアクセスしていた各機器で接続テストを行います。接続できない場合、共有フォルダのアクセス設定や、アカウント設定などが以前と同じかどうか、見直して下さい。

全て問題なく確認が出来たら、これでNASの保存容量が500GBから2TBの約4倍に増量できました。またしばらくは安心ですね。

最後に・まとめ

ディスクの換装は、それほど難易度としては高くありません。が、何事も、手順のミス、作業の失敗、事前に想定していない、何らかの理由で手順通りにいかないトラブルなどはありえますので、しつこいようですが、かならず大事なデータは厳重にバックアップを行った上で作業を行いましょう。

これも繰り返しになりますが、当方では、NASの設定失敗やデータの損失について責任を負えません。自己責任で対応を行うか、リスクを最低限にしたい場合は、旧NASのHDD換装ではなく、新しいNASを購入した上でデータコピーを行って下さい。