【DELL製ノートPC】システムの復元やSupportAssist OS Recovery でデータ復旧できない個体からのリカバリ【黒川郡大和町での事例】
起動不能ノートパソコン内に記録されている大量の写真データの復旧依頼。
先日、起動できなくなってしまったデル社製のノートパソコンについて、内部データ回復のご依頼を頂きました。たとえ本体の故障はあきらめるにしても、内部のデータだけは諦めたくない、そういった状況のお客様は大変多いです。パソコンは買い替えれば済みますが、思い出の写真は簡単には取り返しがつきませんから。
問題のパソコンは、電源を入れれば通電もしますし、ある程度までは動いているようですが、何度やっても青い画面で止まってしまいます。これもまた、よくある症状です。原因は様々ですが、今回、当店でお預かりしてお調べした結果、ハードウェア(機械部分)そのものには、大きな問題はありませんでした。さて、内部データを取り出すためには、どうすればいいでしょうか。
すでに用意されている「データ復元の仕組み」を試してみようとするが…
今回のように、ハードウェアとしての故障が見られない、あるいは非常に軽度な場合は、既存のバックアップのシステムを動作させてみたいところです。(もっとも、当店で大切な機器をお預かりした際は、始めから後述の安全かつ確実な手法を採ることも多いですが…この場ではとりあえず、物の順番としてまず標準的な復元のシステムについて触れておきます)
1,Windows標準の復元用システムを使ってみる
昨今のWindows製品には、非常時用の復元システムに使えるプログラムが複数用意されています。いわゆる「回復オプション」です。OSが通常通り正常に立ち上がらない場合でも、それらの復帰用のプログラムは呼び出せるケースが多いです。ただし完遂できるかどうか、適用できるかどうかは、症状や状況によります。それでも場合によっては試してみる価値はあるかと思います。
参考URL)Windows の回復オプション - Microsoft Support
- 「システムの復元」機能
- 「最新の更新プログラムのアンインストール(削除)」機能
- 「スタートアップ修復」機能
- OSの初期化(「個人用ファイルを保持する」選択)
- 他
結論から言いますと、今回お預かりしたパソコンは、画面上のどの選択肢を選んでも、システムを復旧することは出来ませんでした。どの選択肢を選んでも、手順を変えても、失敗メッセージが表示され、復旧作業を完遂することができません。よって、他の方法を考える必要があります。
2,DELL社製の復元システムを使ってみる
パソコンの製造メーカーが大手の場合は、非常時用の対応プログラムをあらかじめ用意し、組み込んでいる可能性が高いです。ライバル社よりも多くパソコンを販売するための、付加価値となります。もし組み込まれている場合は、使わない手はありません。なお、付属のマニュアルがお手元に見当たらない場合は、インターネットで検索するなどして、手順を確認しておくことをお勧めします。
今回のデル製ノートPCの場合は、「SupportAssist OS Recovery」という緊急時用プログラムが組み込まれていました。Windowsが正常に起動しない場合でも、ハードウェアに致命的なトラブルなどが無ければ、このプログラムだけは起動できるように設計されています。
このプログラムには、自己診断で故障個所を調べたり、購入時の状態にすべてのシステムを書き戻したり、内部のデータを外部メディア(USBメモリなど)に保存できる機能などが含まれています。これが正常に動いてくれれば、データの復旧も比較的簡単に実行できます。
しかしこれも結論を言いますと、該当のバックアップ機能のボタンを押しても、エラー表示がされてしまって、作業を完遂することはできません。また、他の手段を考える必要があります。
3,外部の第三者による復元システムを使う
OSの製造元であるMicrosoft社や、PC本体の製造元であるDELL社の復元プログラムが使えない場合でも、あきらめる必要はありません。復旧のために選べる手段は複数あります。ただし、一般のご家庭や中小零細企業様で、そういった「手段」を、それも”複数”用意することは、難しいかもしれません。ここからは、専門家に相談する方が、結果的に安全かつ安価かもしれません。
まずアプローチとしては以下の2通りが考えられます。当該パソコン単体で解決するか、分解して記憶装置だけを別の機械に繋いでしまうか、ですね。
- 別システムがインストールされた外部メディア(USBメモリーやCD-ROM)をパソコンに挿入し、そこから起動した別システムを使用して復元を試みる(別途用意したWindowsのインストール用ディスク、Linuxの各ディストリビューション、データ復元専用の市販ソフトウェアCD-ROM等)
- 当該パソコンを分解し、記憶装置を取り出し、別のシステムに接続しデータ復元を試みる(別の正常動作している作業用PCに繋いだり、直接ディスク同士を接続しデータコピーを行うデータクローン専用機を使用するなど)
これも結論を書いてしまいますと、今回の障害PCにつきましては、以下の手順でデータ復旧が可能でした。いわゆる「論理障害」の範疇です。記憶装置が物理的に故障してしまっている「物理障害」となりますと、外部の専門業者(費用は高額になります)に依頼するケースが多くなりますので、今回はまだ幸運なケースだった、と言えるかもしれません。
今回の復旧までの流れ
- 該当PCのUEFI設定画面で、USBメモリから起動できるように設定を変更
- Windows10のインストール用メディア(USB)から起動
- コマンドプロンプトを管理者権限で起動
- CUIにてデータコピーのコマンドを打ち込み、内部ストレージから外部ストレージ(外付SSDドライブ)へデータコピー
- お客様とのご相談との結果、元PCを修理し初期化した上で、再び外付SSDからPC本体へデータを書き戻し、納品
…今回の復元作業は、このような経緯と結果となりました。
私がこの記事で書きたかったことは、「こうすれば絶対に直る」「復旧できる」という「正解」は決まっておらず、状況、症状、被害の度合いなどによって、とりえる手段が複数あり、慎重かつ適切に方法を選ぶ必要がある、ということです。パソコンに詳しくなればなるほど、プロになればなるほど、その選択肢が増えていきます。絶対の正解を知っているわけではなく、むしろ沢山の武器を使い分けていくことになります。そのあたりが、専門外の方からのイメージとは異なるかもしれませんね。
さいごに:データ復元作業は出来るだけ早期に専門家へ
この記事では、思考の流れの順番として、複数の復元システムのご紹介をしました。が、実際のデータ復旧の現場では、できるだけアレコレ手を付けず、トラブル発生時点に近い状態でお預け頂いたほうが、手間(ご返却までの期間)や、費用や、データの復元確率などの面で、お客様にとっても有利となります。
ご自身での作業はある程度の状況把握までに留め、「ちょっとこれは難しいかな」と薄々気づかれた時点で、プロに相談することをお勧めします。自己解決をあきらめきれず、ご自身で様々な作業を行い、状況が進んで(悪化して)よりご依頼をされた場合、費用や期間などが上増しになってしまうことも、珍しくないのです。