当店でTVチューナー「PT3」の取付・設定代行をお断りする理由

こんにちは、店長の平山です。
パソコンやIT機器に関して、導入支援、設定代行などのお仕事をしています。

パソコンサポート・パソコン修理・パソコントラブル対応のプロ業者

そんな中、しばしば、TVチューナーボード「PT3」の設定代行のご依頼が来ることがあります。
しかし当店では「PT3」「PT2」「PT1」また、その類似製品の取付代行、設定代行などはお断りしています。

【はじめに】サービスの有無は店舗で決めることが出来る。けれど…

そもそも、通常のお店やサービス業者について「ご依頼があれば何でもしなければならない」と法律で決まっている訳ではありません。電器店はすべての商品を店頭に並べるわけではありませんし、お医者さんも、対応できる専門の分野以外は、お断りするのが普通です。

店頭にどんな商品を並べるのか、また、お店でどんなサービスを行うかは、よほど特殊な業種でも無ければ、経営者が自由に決めることができます。またその際に、「なぜAの商品(サービス)は提供し、Bの商品(サービス)は提供しないのか」といった説明は、わざわざ必要ありません。なかには、努力目標として「提供サービスや商品を増やそう!」と考えるお店も多々あるでしょうが、それは自発的な努力であり、法律上の義務ではありません。本来、「しないものはしない」「できないものはできない」とお店側が言えば、それで終わりのことなのです。それが顧客満足や売上にどう影響するかは、あくまで店側で考える問題です。

しかしながら、今回はあえて、「なぜ当店では『PT3』という特定の製品の取り扱いをお断りするのか」という、裏側をお話したいと思います。そういったPT3に関連するご依頼をご検討されている方への説明を果たす事も、目的のひとつです。ご依頼をお断りする際に、「これは違法では無い(とご依頼者様は考えている)のに、なぜやってくれないのか?」とかなり強めのご質問、問い合せを受ける事が多いため、この機会に、店主としての見解をここで述べておきます。

PT3とは、暗号化されたテレビ放送を”そのまま”記録できる装置

有限会社アースソフト社が開発元のパソコン部品です。主にデスクトップ型、タワー型パソコンに取り付け、テレビ受信の配線を行うことで、テレビ放送のデータを記録することができます。

この製品の問題点は、他の「暗号を解読するソフト」などを組み合わせて使うことで、本来なら「ダビング10」や「コピーワンス」などの規制がかかるはずのテレビ放送番組などについて、自由に録画データの複製や編集が出来てしまう点です。
この製品そのものは暗号解読などを行わないにしても、結果的にこの製品のせいで多数の著作権侵害を産み出している、といっても過言ではないかもしれません。※もちろん、やり方の詳細などはここでは記載しません。

PT3

B-CASカードについて

B-CAS社(株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ)が発行するカードです。これがなければ本来、地上デジタル放送は見られない仕組みです。このカードの偽造、コピー、改造などは違法です。このカードをテレビ本体(だいたいは裏側の目立たない場所に差込口があります)に差し込むことで、暗号化された地デジ放送のデータを復号化(解読)されるようになり、映像として画面に表示されるシステムです。

このB-CASカードの仕組みの導入にあたっては、B-CAS社が一社独占状態となり、独占禁止法違反ではないか、という議論も一部ではありましたが、少なくとも、現在ではこのB-CASを中心とした仕組みが合法化・完成されており、そこから外れることは認められていません。

bcas

PT3の違法性、合法性

PT3を「正規のB-CASカード」と「他の合法的なソフト」と組み合わせて使う限り、法には触れない、というのが、PT3合法論を推す方々の論拠かと思います。ユーザーさんが、仮に何らかのソフトウェアを併用することで暗号解読して、著作権違反となる映像のコピーや編集作業などを行ったとしても、それはユーザーさんが勝手にやったことであって、PT3そのものには違法性はない、とする考え方ですね。

実際、PT3はamazonや各パソコン機器店でも取り扱いがあり、過去数年間、取り締まられてはいません。この先どうなるかはともかく、PT3の販売と購入「まで」については、2015年現在は合法的に行われています。

合法使用も可能だが、違法に使われる可能性が高い 。

・・・といった建前があるわけですが、しかし、通常のTVチューナーボードを購入せず、わざわざPT3を購入・設定しようとするからには、購入者の方は、失礼ながら、違法な使用方法をする可能性が高いと考えざるを得ません。普通に合法的に使う目的でチューナーボードを購入するなら、これ以外の、大型量販店でも取り扱っているような流通品でも構わないはずですから。

実際、当店へのご依頼内容としても、「『PT3』を買うところまでは出来たが、その先の、(コピー規制などの掛からない)違法プログラムの設定が良く分からないのでやって欲しい」という違法な内容のご依頼が、割合としては100%でした。(そもそもご依頼者自身に違法という認識が無かったり、B-CASが独占禁止法に触れているから構わない!という独自の法理論を根拠に当店への交渉を行ったり、解釈のパターンは色々ですが、違法は違法です)

こういった経験則から、当店でPT3導入の支援を行った場合、それが結果的に、違法行為の手助けになってしまう可能性が高いと、私は考えています。(前述の通り、実際そのように違法な依頼が寄せられた経験から、そう判断しています)

個人が使用する場合に比べ、当店のように「対価」を得て代行する業者の立場では、責任がより重くなります。

また、ユーザーさんが自分で作業する場合と、我々が「代行」して金銭的対価を得る場合では、事情が変わってきます。

これも例にとって説明しますが、漫画本や小説などの書籍をページ毎にバラバラに分解し、スキャナーで取り込んでパソコンやタブレットやスマホの画面で見られるようにする、いわゆる「自炊」と呼ばれる行為があります。この自炊行為について、本を買ったユーザーさん当人が行う場合は基本的に問題はありませんが、それを「代行」する自炊業者は、取り締まりの対象になる可能性があるのです。

一般的に、同じ事をユーザーさんが自己責任で行う場合と違い、代行業者が金銭を得て行う場合では、法的な責任(罰)がより重くなるという事を、どうかご理解ください。

さらに当店の基本姿勢は「コンプライアンス重視」。公明正大をモットーにしています。

以下は、過去に当店のコンプライアンス(遵法精神)について解説した記事です。

当店では、お客様の個人情報のかたまりであるパソコンを預けて頂く業者として、「目先の売上の為にズルをしない」「ルールを守る」「変なことや怪しいことはしない」といった当たり前のことを徹底し、お客様との信用を大事にしなければならない、と考えています。

たとえ世間一般で実行している方が沢山いるような事柄でも、ルール上「ダメ」とされていること、その恐れがあることは、お客様からのご依頼があったとしても、お断りしています。それで一時的にお客様にご不快とご不満を与えてしまい、当店の売上面での機会損失になったとしても、最終的にそれが「信用」に繋がれば良いと考えています。

結論・補足

以上のことから、当店ではPT3と、それに準じる機器の設定代行のご依頼をお断りしています。また、お客様にも、これらの機械の使用は、オススメしません。この記事についても、PT3などの機器の使用を推奨するものではありません。むしろ、法に反する可能性について、啓蒙する目的で掲載しています。PT3やそれに類する商品の詳細な使い方やソフト名は当記事に記載していませんし、ご質問にも応じられませんので、ご了承ください。

今後もパソコンサポート仙台宮城はコンプライアンス(法令順守)の方針に則った店舗運営を心掛けて参ります。